一度知ってしまったら、二度と知らなかった昔には戻れない

(山形県)羽根田酒造

蔵のある山形県鶴岡市大山は、「酒造りのまち」として450年以上の歴史があり、現在4つの酒造メーカーがあります。
その中で一番小さくて、創業文禄元年(1592)という県内でも最も古い歴史のある蔵が羽根田酒造です。
皆様既にご承知のとおり、2019年6月18日山形県を観測史上初の大地震が襲いました。
蔵の外壁や貯蔵酒も相当な被害に会いました。
蔵元の羽根田修氏は、私と同年配の朴訥な人柄の方で、お付き合いを始めて30年近くになる古参のパートナー蔵元です。
現在は、蔵元杜氏として修氏が、外硬内軟の蒸米、突きハゼ型の麹造り、コメの外側を粕として残して芯の部分だけを酒にするなどの、勇退した名人「安在正一」杜氏の酒造りを伝承し、量産には向かない酒造りの本流(大山流)を守っています。
次期蔵元でもある長男も蔵入り5年目に入り、すっかり地に足が着き、二人三脚での酒造りも安定感で出てきました。
羽前白梅のお酒は、決して目立とうとはせず、朴訥で、飲み口がスッと軽く、穏やかな酸と程よい旨味を併せ持ち、いつまでも飲んでいたいと思わせてくれる涼やかな酒です。
呑んべえには本当にうれしい純米です。
唯一の弱点は、『熟成が遅い』ということくらいでしょうか。
また、その炭素濾過を必要としないきれいな酒質は、手抜きのない丁寧な酒造りを裏付けています。
今、主流のヤブタ式圧搾機ではなく、旧式の酒槽で搾られた酒は、どれも必然的に最良部分の「中垂れ」と呼ばれる部分だけを集めることになるため、透明感のある純米となります。
華やかなタイプが主流の山形吟醸の中、味わいを重視した数少ない蔵元です。
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