一度知ってしまったら、二度と知らなかった昔には戻れない

(岐阜県)大塚酒造

「竹雀」を初めて知ったのは、2015年10月の札幌での「日本酒ゴーアラウンド」のとき、蔵元杜氏で6代目「大塚清一郎」氏が持ってきた純米は、すべて生酒でしたが、火入れ後の熟成で花開く典型的な純米で、久々に芯のある骨太の純米に出会った瞬間でした。
翌年、2016年度頒布酒の選定のため蔵に訪問いたしました。
清一郎蔵元は、東京農大卒業後、三重の酒蔵で二年間修業し、廃業寸前の蔵に平成22年に戻って家業を継ぎました。
そして新ブランド『竹雀』を立ち上げ、大塚酒造を立て直したのです。
竹雀は、まさに起死回生の酒です。
清一郎君と奥様、ご両親の4人で醸す本当に小さな蔵元ですが、純米醸造にかける情熱の高さに脱帽します。
一般に蔵に戻った若き二代目は、そのほとんどが、華やかで甘さの残した冷酒向きの酒を醸したがりますが、寡黙な彼の酒はまったく対極で、まさしく「土の酒」そのもので、華やかな酵母には決して頼らず、熟成による進化が楽しめ、食事とともに楽しめる『酒本好み』の酒なのです。
そして彼と奥様は、剣道の達人でも有り、県のチャンピオンにもなったほどの腕前です。
伝統的武道である剣道の道を究めたからこそ、毎年進化する『静かな情熱の純米』を家族で醸せるのかもしれません。
酒本の看板純米になる日もそう遠くは無いでしょう。
皆さんの応援が酒を育てます。
当店の春秋の銘酒祭や札幌での日本酒ゴーアラウンドは必ず駆けつけてくれます。
< 前のページ
次のページ >
7件 [ 1-7 ]