一度知ってしまったら、二度と知らなかった昔には戻れない

(広島県)藤井酒造

2018年7月11日、西日本を襲った記録的豪雨により、藤井酒造も、蔵の大部分が水没し甚大な被害を受けました。
蔵のある竹原は、江戸時代の町並み(国の指定文化財)が今も残る「安芸の小京都」と呼ばれた風光明媚な街なのです。
藤井酒造は、この地で1863年(文久3年)に創業、その頃のままの蔵で今も酒造りを行っています。
代表銘柄「龍勢」は、第一回全国清酒品評会で日本一の名誉に輝き、全国に名声を轟かせました。
「宝寿」は昭和天皇誕生時の新聞の大見出しによるもので、「最もおめでたい銘柄」として名づけられました。
平成6年から、蔵元の弟である藤井雅夫氏(昭和38年生)が杜氏を任されています。
どの酒も今流行の酵母は一切使用せず、炭素濾過にも頼らず、コメの旨味を全面に引き出す酒造りを目指しており、完全発酵させた純米だけが持つしっかりとした酸が、藤井酒造独自のボディーを形成し、頒布会会員様並びに、全国の芳醇純米ファンの必飲酒となっています。
藤井酒造のコメントをするときに必ず思い出すことがあります。
平成元年、発足したばかりの「全国蔵元交流会」の審査会で審査員を務めていた私が最高点を付けたのが、藤井酒造「宝寿」“酒の道”でした。
上原浩先生も一目置いた酒です。
(杜氏は出雲杜氏の至宝「長崎芳久」でした。うなずけます!)
藤井善文蔵元に初めてお会いした時でもあり、お互いにまだ30代前半の若さでした。
それ以来、ともに切磋琢磨しながら純米酒の啓蒙に邁進しあうパートナー蔵元です。
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