一度知ってしまったら、二度と知らなかった昔には戻れない

(鳥取県)大谷酒造

この蔵のことを語るには、この蔵の「坂本俊」前杜氏の話は欠かせません。
もう30数年近く前の昭和62年冬、上原先生に連れられて大谷酒造の「坂本俊杜氏」にお会いしたのが昨日のように思い出されます。
口当たりは軽快、バランスよく、名刀のような切れ味をもつ純米を醸す人物にひと目会いたい、そんな私の恋心(笑)が叶った瞬間でした。
小柄ながら、がっしりとした体格で眼光鋭く、辛口の男酒「鷹勇」の風格そのままの杜氏でした。
17歳で鷹勇に入社し、28歳で杜氏に就任、以後平成19年まで鷹勇一筋に52年、一貫して完全発酵にこだわり、平成10年に「現代の名工」・同14年には「黄綬褒章」を受賞した、私が最も尊敬している杜氏です。
今は引退されましたが、今でもこの蔵のことを気にかけているようです。
坂本杜氏は、進取の気性をいつも持ち続けた方で、平成9年に、我々のわがままを快く引き受けていただき、「山廃」を吟醸仕込みで復活させ、さらに生酛にも挑戦し、『鷹勇生酛』を完成させました。
特に、山廃を復活させる時に、いきなり50%の純米吟醸(山廃は精白が良いほど難しいといわれる)でやりたいと言われたり、酵母を、それぞれの特性を掴みたいと9号と7号で仕込まれたり、その進取の精神にはいつも驚かされました。
まさにいつも挑戦者の精神を忘れない青年のような杜氏さんでした。
杜氏引退後の現在、「大谷修子」現社長のもと、橋谷工場長を中心に全蔵人一丸となって坂本イズムを継承しています。
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